最近、話題となってるマシュー・ウルフのスイング分析とGGスイングの紹介です。
GGスイング
George Gankas(ジョージ・ガンカス)が提唱するスイングです。
略して、GGスイングと呼ばれてます。
今まで世に出てきたゴルフスイング理論の良いところを融合させたスイングです。股関節の回旋を最大限に活かして、伸筋と屈筋を活かして、瞬発力の高い、高出力なスイングです。簡単にいってしまえば、大きなヒップターン、高いトップ、股関節の回旋により身体の重心コントロールを重視した、瞬発力を活かしたスイングです。
GGスイングの原型は野球のバッティング
マシュー・ウルフのスイングを見てわかるように、GGスイングの原型となっているのは、野球のバッティングです。トップスイングだけ取り出してみると、野球のバッティングそのままな感じです。野球のバッティングの動作をゴルフスイングに取り入れてます。
テイクバックから左脇を締める
マシュー・ウルフのスイング(GGスイング)の特徴のひとつとして、左脇を締めた状態でテイクバックします。そのため、右脇がひらいてくるのでゴルフクラブの向きとしては、シャット(閉じた)に上がってきますし、オンプレーンから外れます。
そして、トップを作ったときに、オンプレーンから外れてる状態では、ダウンスイングできませんし、打てません。なので、ダウンスイングでは、右脇を締めて腕をゴルフクラブを引き付けていきますので、自然とシャローに下りてきます。左脇を締めることで、スイングエネルギーを蓄積して、エネルギーが逃げないようにして、強いインパクトで打てるようになります。
この辺りが、マシュー・ウルフのスイング(GGスイング)のポイントとなっているかと思います。
スクワットが入るというのは、他のスイングでもそういった動作が入ります。また、シャローになるといっても、上げるときがアップライトなので、ダウンスイングでは寝てる(シャロー)に見えるだけです。
GGスイングの動作(Matthew Wolff)マシュー・ウルフ
マシュー・ウルフ=GGスイングで良いのかどうかは難しいところですが、コーチがGGなので、GGスイングの代表的なスイングをする選手として認識されてます。マシュー・ウルフをGGスイングの代表として勝手に分析・解説しますので参考にしてください。もう、お気づきの人も多いかと思いますが、GGスイングは色々なゴルフスイング理論が融合してます。
マシュー・ウルフのスイング分析
GGスイングの要素(右膝を伸ばす)
GGスイングでは、右膝を伸ばします。右膝を伸ばしてテイクバックをすると、自然と右股関節に体重がのります。そして、右股関節が回旋されて、右のお尻が押し込まれるように回転します。骨盤が右側に回転します。この動作がとても重要であり、GGスイングの要となる膝伸ばしヒップターンとなります。
右膝伸ばしのテイクバックといえば、スタック&チルトと同じですね。スタック&チルトは左軸でしたが、マシュー・ウルフは右側(右股関節)に体重を乗せているという違いがあります。マシュー・ウルフ(GGスイング)は、さらに側屈(サイドベンド)を強く入れており、これもスタック&チルトの前傾から側屈への切り替えと使い方が非常に似てます。というよりも、ほぼ同じ?
スタック&チルトのテイクバックを見ると、マシュー・ウルフのスイングと似てます。
腕とゴルフクラブは、アドレス時の両腕がつくった三角形とライ角を維持したままテイクバックをします。ゴルフクラブは縦に立てて引きますから、シャットなイメージとなります。この辺りの動作はレッドベターのAスイングに通じるものがあります。というよりも、ほぼAスイングの理論そのままという感じでしょうか。
左足に関しては、右側に完全に体重をのせてしまうので、左足の踵は浮きますし、わずかに爪先が地面に接してるだけです。
ダウンスイング
ダウンスイングは、右股関節に体重をのせながら、踵を浮かせた左足を踏み込んで伸ばした右膝を曲げなら、やや沈み込んでいきます。所謂、スクワットになります。沈み込むというよりは、バックスイングで右膝を伸ばしてるので、次に動かせるのは下がるしかありませんから、沈み込むというのは、動作的には当たり前になりますし、沈み込むことしかできません。
右膝を曲げて沈み込む
伸ばした右膝を曲げて沈み込むことで回旋した股関節を元に戻します。股関節の回旋が戻るということは、お尻の位置(骨盤の位置)もアドレス時に戻ろうとします。つまり、テイクバックでは伸びて、ダウンスイングでは縮む(沈む)という、伸筋と屈筋をうまく使ってます。
腕とゴルフクラブ
かなり大きく下半身が回転するので、腕とゴルフクラブは巻き込まれていき、テイクバックやトップスイングの時よりもシャロー(寝かせて)に下りてきます。この辺りが、GGスイングはシャローだと言われる所以なのかもしれません。というよりもシャローに入ってきます。微妙なループスイングっぽい動作となり、レッドベターのAスイングに近いイメージがあります。
実は、この腕の動きは特別新しい動きではありません。有名なのはジム・フューリクとか似たような動きをします。
トップスイングの形は、微妙にフレッド・カプルスのシャフトクロスに似てます。
スウェーしない強い脚力
右膝を伸ばすことばかり注視されてますが、マシュー・ウルフは左足の踏ん張り(左の壁)も強く、飛球線側にもスウェーしない強い脚力を持ってます。右股関節は飛球線に向けて回旋する、左側は止めるということで強いスイングエネルギーをつくりだしてます。
マシュー・ウルフのドライバーは短い
あまり紹介されてないかもしれませんが、マシュー・ウルフのドライバーは短いです。
マシューのドライバーショットを見ていて気付いた人も多いかと思いますが、身長の割にはドライバーのシャフトが短いです。彼の身長が186センチ、ドライバーの長さが45インチです。なので、マシューにとっては短いシャフトのドライバーを振っているイメージがあるのかもしれません。45インチで取り回しが良いので、複雑な動きのシャロースイングで打ててる可能性があります。
インパクト
テイクバックで伸ばした膝をダウンスイングで曲げましたが、インパクトでは膝を伸ばして股関節を回旋させて下半身を飛球線方向に回転させていきます。膝を曲げて沈み込んだけど、また伸びあがります。床反力の動作に近いです。地面をけって、いっきにスイングエネルギーを解放して、股関節も回旋されます。
インパクト時には腰は完全に飛球線を向いており、右脚の前あたりで両腕を伸ばしてクラブをスクエアに戻してボールに向けていきます。ボールにヒットする直前に両腕を伸ばしてるように見えますが、けっこう手前で両腕を伸ばしてます。そうじゃなければ、シャローになりません。この動作は、実はタイガーウッズ、ローリーマキロイも同じで、連続写真とかで見るよりも、けっこうボールよりもかなり手前で両腕を伸ばして、クラブをスクエアに戻してます。そうしなければシャローにならないからです。
手首、肘を曲げたままタメて、我慢したままインパクトすれば、ダウンブローになってしまうからです。
左の壁を作って、右側からのエネルギーを受け止めているのですが、そのパワーの逃げ道がなくなってしまうとエネルギーは上に逃げます。だから、パワーのあるゴルファーはジャンピングしてしまいます。
スピンアウトしやすい
このスイングの弱点としてはインパクトからフォロースルーにかけて左足が少し浮いてしまってズレやすくなります。つまるところスピンアウトしやすくなります。この動きは、リッキー・ファウラー、パトリック・リードにも見られます。
トップスイングからダウンスイングに移るときに殆どバンプしない(体重を左に戻さない)ようなスイングの場合、スピンアウトしやすくなります。
リッキー・ファウラーのスイング分析はまた今度やろうと思ってますが、マシューウルフのダウンスイングからインパクトというのは、リッキーファウラーにとても似てます。
フォロースルー
マシューの場合、大きくフォロースルーを出す感じではありません。インパクト後に飛球線方向にゴルフクラブが放り投げられたら、はやめに左肘を畳んで内側にエネルギーを逃がしてるようなフォロースルーとなります。
シャローで打つメリット
シャローで打つメリットとしては、低スピンで打てるということです。打ち出し角度は低く、静かに伸びあがるような弾道が打てます。最近のドライバーを含め他のゴルフクラブも低スピンが打てる構造となってますので、基本的にはシャローで打つ方がゴルフクラブの性能を活かせます。
マシューウルフのスイング特徴まとめ
マシューウルフはGGスイングの理論を取り入れている選手で、GGスイングをしているのだろうと思いますが、様々なゴルフスイング理論が融合したスイングであることが言えます。
スタック&チルトに似た右膝を伸ばしたままのバックスイング。
そして、前傾姿勢からの側屈への切り替えもスタック&チルトの概念に似てます。側屈を強烈に入れることで、トップスイングでは右肩が大きく回転してシャフトクロス&フライングエルボーっぽくなってます。腕で操作してる訳ではありません。
ゴルフクラブと腕の上げ方は、レッドベターのAスイングに近いです。トップスイングからダウンスイングにかけて、クラブが寝て下りてくるという動作は、まさしくAスイングで提唱しているAプレーンになります。
バスケットボール選手と同じ動き
マシュー・ウルフのスイングはバスケットのスライドステップ、ジャンプストップと似てます。ゴルフとバスケでは全く違うスポーツですが、動きはシンクロする点が多いです。
最大の特徴としては、股関節の回旋を最大限に使って、素早く動いて瞬間的に止める(右に回旋して、元に戻しながら左で止める)という動作により、強いスイングエネルギーをつくりだしてます。
マシュー・ウルフのスイングの全体を見ると、バスケのスライドステップ、ジャンプストップと似た動作がゴルフスイングに流用されてます。
それは、まるでバスケットボール選手のドリブルとシュートのような動きです。
バックスイングで右膝を伸ばす、ダウンスイングでは膝を曲げて沈み込む、インパクトにかけては、もういちど膝を伸ばしてジャンプするという、伸ばして、縮んで、ストップしてジャンプするという動作は、バスケの動作と同じです。この動作を瞬間的に行って、瞬間的に止めるから、腕が振れるということです。伸びたり沈み込んだりする、伸筋と屈筋を使った瞬発力です。
それが、マシュー・ウルフの飛ばすコツです。
マシュー・ウルフの飛距離、ヘッドスピード
Smash Factor (ミート率)は公開されてませんでしたが、平均飛距離とヘッドスピードは公開されてましたので、紹介します。
2022年
- 平均ドライビングディスタンス:318.4ヤード
2020年
- 平均ドライビングディスタンス:323.9ヤード
2019年
- 平均ドライビングディスタンス:309.1ヤード
- ヘッドスピード:55.65m/s
ジム・フューリックのスイング
マシュー・ウルフのスイングは、ジム・フューリックのスイングに近いイメージとなります。なので、マシュー・ウルフのスイングは新しいかもしれませんが、実は既出のゴルフスイング理論が融合してるということになります。
ジム・フューリックもアップライトに上げて、ダウンスイングではクラブが倒れて、シャローになります。ジム・フューリックも左脇を締めて、テイクバックしてくるので、かなりクラブが立ってきます。ダウンスイングでは、腕とクラブが巻き付いてくるので、テイクバック時よりもクラブが寝てきますので、シャローになります。
ジム・フューリックのスイング