全体的に脱力をしているにも関わらず、下半身にはしっかりとチカラがはいっています。とくに太腿あたりの盛り上がりは、相当な脚力があったのだろうと想像できます。中部銀次郎さんのスイングの最大の特長としては、右足がベタ足となっており、インパクトまで左足の踵が浮くことがありません。スイングは大きく体重移動してないように見えますが、実際は体重を右にのせて、左に移動させており、2軸スイングとなっています。下半身を固定して打つというスイングです。スイングを分析していくと多くのヒントがあります。
中部銀次郎のアドレス
適切なボールの位置、適切な前傾しせいにより、いつでもスムーズにテイクバックが始動できるアドレスとなってます。誰が見ても理想的なアドレスであると感じるはずです。
美しいアドレスをする方法を中部銀次郎さんは、このように説明しています。
真っ直ぐに立って、スタンス幅は肩幅くらい。少しだけ膝を緩めて、腰骨から前傾する。手はそのままだらんと下げるて、そこでグリップする。それだけ。
あごを引かない、頭を垂れない、お尻から背骨、頭まで真っ直ぐになるようなイメージで立つこと。
姿勢に関しては、ベン・ホーガンでいうところのセミ・シッティングと同じです。
アドレスでハンドダウンする
腕は自然と垂れ下がるイメージで、手元が身体から近くなっても良い。手元と自分の身体の距離は拳1個か2個分くらい。腕を垂れさせることで、自然とハウンドダウンして、手首とゴルフクラブのシャフトが「く」の字になる。つまり、持つゴルフクラブによって、ライ角が決まって、手首のコックが決まるということです。
スタンス幅が広いアドレスに関して
スタンス幅が広いと体重移動が大きくなって、ボールを強く打てるかもしれないが、それは足腰が強くてフットワークがしっかりとできる人向けである。中部銀次郎さんも、もともとスンタス幅が広かったが、加齢と共にスタンス幅を狭くしたとのこと。
アドレス時の体重配分
ドライバーでもアイアンでも左右均等に体重をかけて立っている。クラブごとに体重のかけ方をしていると、再現性が難しくなると説明しています。また、足の土踏まずのあたりに体重をのせるイメージで立っていると説明しています。
アドレスして打つときに気にしている点
スイング軸がズレないことを気にしています。大きくは以下の2点となります。
- (1) 右膝が右へずれないこと
- (2) 頭を動かさないこと
- スタンス幅は肩幅くらい
- 膝を緩めて腰骨から前傾姿勢
- 手はだらんと下げる(ハンドダウン)
- お尻から背骨、頭で真っ直ぐにする
- 頭を垂れない
グリップ(握り方)
中部銀次郎さんのグリップ(握り方)は、ベン・ホーガンを手本にしているとのことから、スクエアグリップに近いウィークグリップとなっています。中部銀次郎さんは、フック系のミスの悩んでいる時期があったということから、ベン・ホーガンのグリップを手本にしています。
中部銀次郎流テークバック
留意することは、手だけでゴルフクラブを引かないこと。
テークバックは真っ直ぐ後ろへ30センチ引くというのは間違っていると書いています。スイングは円運動なので、インサイドインのスイングになるから、テークバックではインサイドに引かれるのが適切であると説明しています。背骨を軸にして、左肩を右へ回転するイメージでテークバックを開始する。左肩が顎下に入れば、しっかりと捻転できる。
- インサイドに引く
- 左肩を右へ回転する
- 左肩を顎下に入れる
トップスイング
上半身と下半身の捻転差が大きいトップスイングとなっています。腰が回転しきっているので、背中とお尻が飛球線を向いています。それでも微動だにしない下半身の粘りがスゴイです。左足はヒールアップもしていません。両脚で粘って、深くて強い捻転をつくっているのが特長です。
中部銀次郎さんが現役の時代には、スタック&チルトというゴルフスイング理論はありませんでしたが、どちらかというとスタック&チルトに近い動きをしています。テークバックで右脚で踏ん張るところ、右脚を伸ばしながら股関節を回旋させて、腰をまわすという動作は、スタック&チルトに精通する点です。
- 上半身と下半身の捻転差が大きい
- 背中とお尻が飛球線を向く
- 右脚を粘る・スウェーさせない
ダウンスイング
ボールを打とうとすると右肩が突っ込む場合がある。右利きの人は、左手ではなくて、右手を使いたくなるので、自然と右肩が突っ込みやすくなるし、それが普通である。なので、左手1本だけでスイングするイメージで打ってみると良い。右手は本当に添えるだけにしておくと良いと説明してます。
腕の下し方、肘の畳み方などは全く説明されていませんが、右肘を身体に引き付ける動作と手首のコックの保ち方は素晴らしいです。左手1本だけで打つというのは、私も今でも実際に取り入れています。左腕手動で打つ感覚を養うことができます。
慣れると、本当に右手を使わずに左手1本だけで打てるようになります。ダウンスイング開始してから、直ぐに右足の踵が浮いてしまって、爪先だけで右膝を送り込むという打ち方をする人も居ますが、中部銀次郎さんの場合は、完全にベタ足です。左右の脚力で腕とゴルフクラブを下してきているのが判ります。
- ボールを打とうとしない
- 右肩の突込みに注意する
- 左手1本だけで打つイメージ
インパクト
ボールをつかまえるために、手を返す必要があるか無いのか?
その答えは、手を返す必要は無いと答えています。
バックスイングで身体がしっかりと捻転していないことが、ボールがつかまらない原因であると説明しています。
頭を動かさずに、インサイドインで打てれば自然とボールはつかまる。
自分で手を返そうとするとチーピンしやすくなるので、手を返す必要は無い。
つまり、左肩が顎下に入って、しっかりと捻転して、下半身からダウンスイングを開始すれば、インサイドから打てるからボールがつかまるということです。併せて、テークバックではインサイドに引くと説明していることから、インサイドに引いて、インサイドから戻している?よくあるゴルフスイング理論書ではインサイドに引くとアウトサイドから下しやすくなるという説明の真逆となっています。
これは感覚的なことであろうと思います。インサイドに引くといっても、見た目的には殆ど真っ直ぐに引いているけど、頭の中のイメージとしてはインサイドに引いているということかもしれません。
ただ、インパクトからフォロースルーの写真を見ると、左手を裏拳にして回旋してるように見えます。自分で返さなくても、スイングで手が返ってしまうという動作の結果かもしれません。
インパクトで頭が下がる
中部銀次郎さんのインパクトからフォロースルーに関しては、意外と頭が下がってるなという印象があります。アメリカの女子プロにポーラ・クリーマーという選手が居ますが、彼女もかなり頭の位置が下がる打ち方をします。首を痛めそうです。
右足の踵を浮かせない・ベタ足で打つ
右足の踵を浮かせずに、ベタ足にしておくことで、スイング軌道がブレ難くなりますし、ゴルフクラブを加速させることができます。説明されていませんが、中部銀次郎さんの特長としては、インパクトからフォロースルーまで右足の踵が浮きません。完全にベタ足で、ボールを打ち抜くまで耐えています。
右足の踵を浮かせずにベタ足で踏ん張るというか、地面を蹴るイメージでしょうか。最近、注目されつつある地面反力とか床反力と呼ばれる打ち方になるのだろうと思います。
- 右足の踵を浮かせない
- ベタ足で打つ
- インパクトで手を返さない
中部銀次郎さんのスイング まとめ
中部銀次郎さんのスイングは、理に適ってる点があるものの、感覚的な動作となっているところもあります。また、ベン・ホーガンのスイング理論を踏襲しているのか、ベン・ホーガンの打ち方にそっくりです。まったくそのままコピーするのは危険かもしれませんが、アドレス、ベタ足理論、トップスイングの作り方、左手1本打法などはとても参考になります。
中部銀次郎のスイング再現動画 | アニメーション
日々、精進
がんばります